色彩の尽きぬところ 4

暗い色の少ない夏でさえこの調子ですから、春や秋冬のシーズンには、その頃の実感として、猫も杓子もチャコールグレーを着ているような大流行に見えたようです。


婦人服の色としては1961年以降また減少しますが、紳士服の色としては、以後も都市サラリーマンの通勤着として、すっかり定着してしまいました。


暗い灰色や、オフブラックに近い濃紺色などは、1人ひとりの服の色として見ればなかなか深みのあるシックな色なのですが、出勤時の大集団の色となるとやはり異様な感じがすることは確かでしょう。


故花森安治氏はこれを「どぶ鼠色」と評しましたが、戦後生まれの日本語の新色名として、あるいはもっとも有名になったのがこれかもしれません。


昔の染色で、「玄」とか「墨染」と呼ばれた色も、今なら当然オフブラックか暗い灰色に分類されるところです。


墨染は、喪服の鼠色のものをいうこともあります。

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